Nature ハイライト

Cover Story:DNA塩基配列解読法:グラフェンのナノ細孔を通過させる

Nature 467, 7312

グラフェンとして知られるほぼ原子1個分の薄さのグラファイトは、面内での電子伝導性が非常に高い。今回、ハーバード大学とMITの研究グループが、2つの液体を隔てる膜としてグラフェンを使うと、強いイオン絶縁体となる一方で、その面内電子特性は界面環境に強く依存すると予測されることを示している。グラフェン膜はイオンや水を透過しないが、原子1個分の近さにあるグラフェン両表面にさまざまなイオンや分子を引き付ける。そのため、いろいろな分析応用が考えられそうだ。例えば、これらの「トランス電極(trans-electrode)」グラフェン膜に直径数ナノメートルの孔を開けると、そこに長いDNA分子を通すことができる。このようなDNAは、イオンの流れを妨げるため、DNA分子の大きさとコンホメーションを反映した特徴的な電気信号が生じる。このような系は、DNA塩基配列解読のコストを大幅に低減しうるデバイスの基盤となるかもしれない(Letter p.190, N&V p.164)。 Illustration: Paul Montie Design

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