Nature ハイライト

Cover Story:磁極の分離:スピンアイスの磁極を分ける

Nature 451, 7174

電子や陽電子などの、正または負の電荷を帯びた素粒子はよく知られているが、正味の磁荷をもつ素粒子が存在するという証拠はない。磁石は分離不可能なS極とN極を常に伴うと考えられており、磁気単極子というものは、それを観測しようとする多数の研究にもかかわらず、知られていない。今回、巧妙な理論研究によって、磁気単極子が素粒子としてではなく、「スピンアイス」のようなエキゾチック凝縮物質の磁気系における創発的粒子(emergent particle)として存在する可能性が提案された。2次元量子ホール系にみられる分数電荷との類推に基づくこの理論によって、実験的に観測されたもののこれまで解明されてこなかったスピンアイスでの不可解な相転移も説明可能になる。A Canossaによる表紙イラストは、スピンアイスに内在する電子自由度の双極子モーメント(矢印で表す)が分かれて、磁気単極子(赤い球)が出現する様子を示している(Letter p.42, N&V p.22参照)。

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