Nature ハイライト
遺伝学:RNAポリメラーゼIIはDNA複製の間も活性な遺伝子に結合している
Nature 620, 7973
転写装置は、複製の際にDNAから解離すると考えられている。転写状態の記憶を維持するためには、エピジェネティック標識と呼ばれる特定のタンパク質が、親DNA鎖から娘DNA鎖へと伝達されなくてはならない。そして、これらのタンパク質がクロマチン構造の再構築を再開させ、最終的に、RNAポリメラーゼII(Pol II)が新たに複製された娘鎖へと誘導されると考えられている。つまり、Pol IIが活性な遺伝子へ再び誘導されるのは、クロマチンが再構築された後のみだと信じられているのである。しかし、Pol IIがいつ、どのようにして娘鎖へと引き戻され、転写を再開するのかという中心的な疑問についての実験的証拠はほとんどない。今回我々は、複製フォークの通過直後に、他の基本転写タンパク質群や未成熟RNAと複合体を形成したPol IIが、新生DNAのリーディング鎖とラギング鎖の両方で活性な遺伝子に再び結合し、速やかに転写を再開することを明らかにする。これは、転写的に活性なPol II複合体がDNAの近傍にとどまっていること、そしてPol IIとPCNAの相互作用がこの保持の根底にある可能性を示唆している。これらの知見は、DNA複製から転写再開へ移行する際、新たに合成されたDNAにPol II装置を誘導するのに、エピジェネティック標識は必要でない可能性を示している。
2023年8月10日号の Nature ハイライト
気候科学:親星の温度が低い惑星ではマグマオーシャンはできない
惑星科学:WASP-18bの熱放射スペクトル
惑星科学:初期の火星で持続した湿潤–乾燥サイクル
光学技術:非機械的ビームステアリングによる周波数分解LiDAR
材料科学:ホルムアミジニウムペロブスカイトの黒色相の安定化
材料科学:八面体ゲルマニウムペロブスカイトの合成
気候科学:アフリカの角の温度–湿度関係性の逆転
火山学:大陸分裂によるキンバーライト火山活動
生態学:野生生物取引が世界の生物多様性に及ぼす影響
人類学:古代の技術革新を伝えた集団間接触
老化:cGASが老化関連の神経変性を引き起こす仕組み
微生物学:次世代プロバイオティクス開発の新たな戦略
化学生物学:消化管の化学的環境を非侵襲的に追跡するデバイス
がん:がん細胞の薬剤耐性獲得を阻む
がん:抗ネトリン1抗体は上皮間葉転換を抑制し腫瘍を縮小させる
化学生物学:がん細胞のアポトーシスを誘導する
遺伝学:Pol IIが複製中の転写活性状態の記憶を担う
生化学:膨大な数のタンパク質の構造安定性を一挙に測定する方法
構造生物学:マイコバクテリアの脂質取り込み機械Mce1の構造

