Nature ハイライト

遺伝学:RNAポリメラーゼIIはDNA複製の間も活性な遺伝子に結合している

Nature 620, 7973

転写装置は、複製の際にDNAから解離すると考えられている。転写状態の記憶を維持するためには、エピジェネティック標識と呼ばれる特定のタンパク質が、親DNA鎖から娘DNA鎖へと伝達されなくてはならない。そして、これらのタンパク質がクロマチン構造の再構築を再開させ、最終的に、RNAポリメラーゼII(Pol II)が新たに複製された娘鎖へと誘導されると考えられている。つまり、Pol IIが活性な遺伝子へ再び誘導されるのは、クロマチンが再構築された後のみだと信じられているのである。しかし、Pol IIがいつ、どのようにして娘鎖へと引き戻され、転写を再開するのかという中心的な疑問についての実験的証拠はほとんどない。今回我々は、複製フォークの通過直後に、他の基本転写タンパク質群や未成熟RNAと複合体を形成したPol IIが、新生DNAのリーディング鎖とラギング鎖の両方で活性な遺伝子に再び結合し、速やかに転写を再開することを明らかにする。これは、転写的に活性なPol II複合体がDNAの近傍にとどまっていること、そしてPol IIとPCNAの相互作用がこの保持の根底にある可能性を示唆している。これらの知見は、DNA複製から転写再開へ移行する際、新たに合成されたDNAにPol II装置を誘導するのに、エピジェネティック標識は必要でない可能性を示している。

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