Nature ハイライト

Cover Story:味覚の獲得:受容体構造の進化によってタコやイカに新たな感覚が生じた仕組み

Nature 616, 7956

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Anik Grearson

タコは、腕の吸盤にある化学触覚受容体(CR)を使って、海底の環境を探索する際に「触ることで味を知る」。CRは、神経伝達物質受容体から進化し、タコは、CRによって難溶性の天然物に触れてそれらを検出できるようになった。今週号では、N BellonoとR Hibbsたちが2報の論文で、頭足類のCRを用いて感覚受容体進化の構造基盤を調べている。最初の論文では、神経伝達から環境刺激検出へと受容体機能が変化したことの根底にある、タコのタンパク質構造の適応が明らかにされている。次の論文では、この情報を用いて、タコ、イカ、コウイカなどのさまざまな頭足類で、感覚受容体の調整が新たな行動を促す仕組みが調べられている。これらをまとめると、今回の研究によって、わずかな構造的適応が、特定の生態学的状況に適した新たな形質や行動を促す仕組みを理解するための基盤が得られている。

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