Nature ハイライト
細胞生物学:ミトコンドリアDNA切断を核が感知すると免疫監視が強化される
Nature 591, 7850
ミトコンドリアDNAの二本鎖切断(mtDSB)は、ミトコンドリアDNA(mtDNA)の完全性を損ない、ミトコンドリアの機能を変化させる有害な損傷である。ミトコンドリアと核の間でのコミュニケーションは、細胞の恒常性維持に不可欠だが、mtDSBに対する核の応答はまだ知られていない。今回我々は、ミトコンドリアを標的とするTALEN(transcription activator-like effector nuclease)を用いて、mtDSBがI型インターフェロン応答を活性化し、この応答にはSTAT1リン酸化やインターフェロンによって刺激される遺伝子の活性化が含まれていることを明らかにする。mtDNAに切断が生じると、続いてBAXとBAKを介したヘルニア形成が起こってミトコンドリアRNAが細胞質へと放出され、RIG-I–MAVSに依存した免疫応答が誘発される。さらに、電離放射線照射後のインターフェロンシグナル伝達へのmtDSBの影響を調べたところ、mtDNAを持たない細胞がガンマ線照射に曝露されるとインターフェロンによって刺激される遺伝子の活性化が減弱することが分かった。また、mtDNAの切断は核DNAの損傷と相乗的に働いて、ロバストな細胞免疫応答を引き起こすことも明らかになった。以上より、ミトコンドリアRNAの細胞質での蓄積は、遺伝毒性物質によって生じた切断などのmtDSBと細胞が協調して働く、細胞内在性の免疫監視機構であると、我々は結論する。
2021年3月18日号の Nature ハイライト
材料科学:ファンデルワールスヘテロ構造を巻物状に巻く
環境科学:米国本土の河川の3分の2が地下の帯水層に水を失っている可能性
地球物理学:海洋トランスフォーム断層の三次元的性質
動物学:ヤツメウナギ類のアンモシーテスは比較的最近出現した
集団遺伝学:古代DNAでたどる東アジア人の集団史
神経科学:皮質と線条体の関係の部位対応性
幹細胞:機械力が幹細胞ニッチを維持する
進化微生物学:硝酸の消費を伴う呼吸
コロナウイルス:ヒト化マウスにおけるSARS-CoV-2の複製と抑制
細胞生物学:ミトコンドリアDNA切断の細胞による感知
生物工学:バイオセンサーの新しい定番

