Nature ハイライト

遺伝学:ノンコーディングバリアントへの転写因子の結合の系統的解析

Nature 591, 7848

多くの配列バリアントがヒトの複雑な形質や疾患と関連付けられてきたが、それらの大半はノンコーディングDNA上にあるために、その生物学的機能の解明はいまだに困難である。今回我々は、SNP-SELEX(single-nucleotide polymorphism evaluation by systematic evolution of ligands by exponential enrichmen)と命名した、超ハイスループットのタンパク質–DNAマルチプレックス結合アッセイを用いて、ヒトゲノム中の9万5886のノンコーディングバリアントに対する270のヒト転写因子の結合を系統的に評価した。その結果得られた、転写因子–DNA相互作用の8億2800万の測定値によって、各バリアントに対するこれらの転写因子のin vitroでの相対的親和力の推定や、転写因子の結合に対するノンコーディングバリアントの影響を予測するために使われている現行手法の評価が可能になった。新たな6万1020の配列バリアントに関連した独立したSNP-SELEX実験から得られた結果を評価したところ、ほとんどの転写因子について、位置特異的重み行列では十分な予測能力がないが、gkm-SVM(gapped k-mers support vector machine)で表すと予測能力がはるかに改善されることが分かった。我々は、94のヒト転写因子について非常に予測能力の高いモデルを報告するとともに、こうしたモデルが多様なヒトの形質と疾患に関するゲノム規模関連解析や分子経路の解明に役立つことを実証する。

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