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細胞生物学:ミトコンドリア代謝とエピジェネティックのクロストークがSASPを駆動する
Nature 656, 8129 doi: 10.1038/s41586-026-10791-2
老化細胞は、老化関連分泌表現型(SASP)などを介して組織の機能不全を促進する。細胞質ゾルのミトコンドリア由来の核酸が自然免疫シグナル伝達を活性化することにより、この炎症性プログラムが開始する。今回我々は、ミトコンドリアの代謝が、この炎症性プログラムの実行を可能にする制御の第2層となることを示す。老化細胞では、ミトコンドリアのピルビン酸–クエン酸–アセチルCoA軸が上方調節され、SASP遺伝子のヒストンアセチル化を支えるアセチルCoAの利用可能性が高まる。ミトコンドリアDNAによって駆動されるシグナル伝達が炎症性転写因子を活性化するが、SASP遺伝子のロバストな転写にはアセチルCoAが利用可能である必要がある。従って、アセチルCoAレベルを上昇させるとSASP遺伝子の発現が促進される。一方で、ミトコンドリアのクエン酸排出輸送体であるSLC25A1を阻害すると、SASP座位のヒストンアセチル化が減少し、このプログラムの活性が制限される。in vivoでは、SLC25A1の阻害によって、老齢マウスでSASP座位のクロマチンアクセシビリティーが低下し、炎症が抑えられ、健康寿命が延長した。まとめるとこれらの知見は、自然免疫シグナル伝達のエピジェネティックな実行を可能にするミトコンドリアの代謝チェックポイントを特定するとともに、老化細胞による炎症性出力を選択的に制御する機構を示している。

