進化学:動物の起源に凝集型多細胞性を結び付ける単細胞近縁種
Nature 656, 8129 doi: 10.1038/s41586-026-10748-5
動物が、単細胞祖先から複雑な多細胞性をどのように進化させたかは、依然として解明されていない。動物の単細胞近縁種は、クローン分裂、多数の核を持つ多核体の形成あるいは凝集によって、単純な多細胞性を示す。従って、動物の多細胞性は、これらの挙動の1つ(あるいはその組み合わせ)から進化した可能性がある。従来、凝集は複雑な多細胞性へ至る手段としては重視されてこなかった。しかし、凝集は現生動物の多くの細胞で起こり、最近では動物に近縁の単細胞生物3種(襟鞭毛虫のSalpingoeca rosettaとChoanoeca flexa、およびフィラステレアのCapsaspora owczarzaki)においても報告されている。これらの種における凝集が派生的であるか祖先的であるのかは不明であり、動物の起源との関連性も分かっていない。今回我々は、この空白を埋めるために、動物に近縁な別の単細胞生物が凝集できるかどうかを調べた。その結果、海洋性の自由生活種で細菌食性のフィラステレア類Ministeria vibransが、再現性のある動態で均質な凝集体を形成し、この凝集体が長期的に安定であることを見いだした。また、摂食と交配の改善がこの凝集をもたらす進化的駆動要因である可能性が示された。注目すべきことに、細胞接着、シグナル伝達、転写調節に関与する、多くの動物多細胞性遺伝子のホモログが、凝集過程で利用されていることが分かった。これは、これらの遺伝子が、動物の多細胞発生に転用される以前に動物の単細胞祖先において凝集のために用いられていた可能性を示している。従って我々の結果は、凝集型多細胞性が多細胞動物の遺伝的ツールキットの進化に重要であったという見解と整合する。

