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構造生物学:タイプIのメタン生成菌が持つ8 MDaのHdr–Vhu–Fwd超複合体の構造

Nature 656, 8129 doi: 10.1038/s41586-026-10744-9

メタン生成菌は全球炭素循環において中心的な役割を担っており、強力な温室効果ガスであるメタンの最大級の生物学的発生源である。そのエネルギー代謝の中核にあるのが、フラビンを用いて電子を分岐させることによりH2の酸化とCO2の還元を共役させるHdr–Vhu–Fwd超複合体である。今回我々は、メタン生成菌の一種であるMethanococcus maripaludis由来のHdr–Vhu–Fwd超複合体のクライオ電子顕微鏡構造を決定し、これが252のポリペプチド鎖と600を超える酸化還元補因子からなる8 MDaの複合体であることを明らかにした。さらに、クライオ電子線トモグラフィー解析から、この超複合体が無傷の細胞の細胞質内で完全な構造をとっていることが裏付けられた。この構造は、四量体のFwdFコア1個で連結された2個の六量体HdrABC–Vhu環でできていて、連続した環状の電子伝達鎖を形成している。この独特な配置では、12個のポリフェレドキシンサブユニット(VhuB)がVhu–HdrとFwd複合体を接続し、これによって電子の分岐がCO2還元と共役し、メタン生成経路の最終段階と第一段階が直接連結される。さらに我々は、[NiFe]-ヒドロゲナーゼVhuがタングステン含有ギ酸デヒドロゲナーゼ(FdhAB)に置き換わった、モジュール型の複合体バリアントを明らかにした。これは、多様な環境条件下での代謝適応を促す電子入力モジュールが、柔軟に組み込まれることを示唆している。分類学的な分布の解析から、このような構造はタイプIのメタン生成菌に特異的であり、タイプIIのメタン生成菌菌が持つもっと小さなHdr–Fmd複合体とは異なることが分かった。まとめるとこれらの知見は、Hdr–Vhu–Fwd超複合体が、モジュール性と適応性を備えた生体エネルギー産生集合体であり、多様な嫌気性ニッチへの適応を可能にする系統特異的な構造であることが示唆される。

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