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水文学:1342〜1343年にヨーロッパ全土で起こった大陸規模の連鎖的な洪水
Nature 656, 8128 doi: 10.1038/s41586-026-10888-8
ヨーロッパはここ数十年間、極端な洪水に見舞われている。しかし、それらをさらに上回る規模の洪水が起こる可能性があり、洪水リスク管理においてそれらを考慮する必要がある。そうした洪水の特徴は、記録が残っている中で最も大規模な洪水を分析することによって明らかにできる。中央ヨーロッパでは、1342年7月のマグダレーナ洪水が過去1000年間で最大と見なされることが多いが、その特徴に関する知識は不十分である。今回我々は、1341年後半から1343年までの間にヨーロッパの広範な地域で16件の大洪水事象が起こったことを示す。これらの事象のうち4件(マグダレーナ洪水、バーソロミュー洪水、キャンドルマス洪水、ヤコブ洪水)の再来周期は500~1000年であった。マグダレーナ洪水はこれまで、1342年にヨーロッパで発生した唯一の極端な洪水であると考えられていたが、我々の新しい文献史料データセットは、マグダレーナ洪水がより広範な一連の洪水の一部だったことを示唆している。過去700年間で極端な洪水の発生件数が最も多かった年は1342年であり、1343年も上位10位に入る。この極めて異例な一連の洪水は、ヨーロッパにおける洪水緩和策のパラダイムシフトをもたらすなど、大きな社会経済学的影響を及ぼした。一連の火山噴火に加えて、北極の海氷が数年にわたって後退したことが、この一連の洪水の原因と思われる。数カ月以内に極端な洪水が集中して発生する事態は、リスク管理においてはほとんど考慮されていない。こうした起こり得る事態を考慮した、迅速で予防的なリスク戦略が必要である。

