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量子シミュレーション:フェルミ・ハバード量子シミュレーターにおける擬ギャップ
Nature 656, 8128 doi: 10.1038/s41586-026-10875-z
ドープされたモット絶縁体を理解することは物性物理学における基本的な目標であり、銅酸化物超伝導体や他の量子材料に関係する。ハバード模型は、こうした系を記述するミニマル模型であり、それらが示す複雑な挙動の一部を詳説してきた。しかし、低温かつ中程度のドーピング量で現れ、銅酸化物では冷却に伴って高温超伝導を生じさせる異常金属状態に関しては、依然として多くの未解決問題が残されている。今回我々は、到達可能温度を従来の数分の1まで低下させた最近の成果を利用し、低温原子量子シミュレーターにおける熱力学的測定および分光学的測定によって、ハバード模型において通常金属と擬ギャップ金属の間のクロスオーバーを観測した。冷却に伴い、圧縮率は中程度のドーピング量で最大に達し、これは、状態方程式の変曲点を示唆している。我々は、この最大値を相互作用の強さに対して追跡し、相図において、強い相互作用領域でアンダードープ金属とオーバードープ金属を隔てる、熱力学的異常の線を見いだした。アンダードープ領域の格子変調スペクトルでは低エネルギー応答が消失しており、これは特にブリルアンゾーンのアンチノード領域で顕著であることから、擬ギャップの存在が示された。我々はこの信号を用いて、相互作用とドーピング量に対する擬ギャップ相図を構築した。我々の結果は、ハバード模型における擬ギャップ金属の存在を実験により確立して特徴付けるものであり、今後の研究において調べることのできる電荷秩序とのつながりを示唆している。さらに今回の成果は、相関電子物理学における最前線の問題に取り組む上で、量子シミュレーションが有用であることを実証している。

