太陽電池:光変換可能な安定剤を用いたペロブスカイト–有機タンデム太陽電池
Nature 656, 8128 doi: 10.1038/s41586-026-10869-x
ペロブスカイト–有機タンデム太陽電池(ペロブスカイト–有機TSC)のフロントセル材料として用いられている、臭素(Br)含有量の高いワイドバンドギャップ(WBG)混合ハロゲン化物ペロブスカイトは、作製直後からハロゲン化物混合不均一性と光誘起ハロゲン化物偏析を示すことが多く、これが、ペロブスカイト–有機TSCの性能の制限となっている。今回我々は、光変換可能な添加剤である4-[3-(トリフルオロメチル)-3H-ジアジリン-3-イル]ベンジルアンモニウム塩(TDB)をWBGペロブスカイト前駆体溶液に導入し、混合ハロゲン化物相を安定化させる2段階戦略を確立した。結晶化の間、TDBはBrリッチ相の急速な析出を抑制し、アニーリング時のハロゲン化物混合を加速することによって、ハロゲン化物の初期の不均一性を改善する。動作時の光照射下では、TDBは変換を経て、ペロブスカイト粒界表面により強く吸着する新しい化学種を形成し、ヨウ化物関連の欠陥の形成を阻害するとともに、欠陥が介在するキャリア捕獲とイオン移動を抑制することで、光誘起ハロゲン化物偏析を軽減する。代表的なWBGペロブスカイト(バンドギャップエネルギー〔Eg〕 = 1.88 eV)の太陽電池は、20.01%という電力変換効率(PCE)を示し、その開回路電圧は1.42 V、曲線因子は85.13%で、照射下の安定性も向上した。我々は、このWBGペロブスカイト太陽電池をモノリシックペロブスカイト–有機TSCに組み込むことによって、28.80%というPCEを達成し、認証定常状態PCEは28.04%であった。今回のペロブスカイト–有機TSCは、ISOS-L-1プロトコル下で625時間の動作後も、初期PCEの90%を維持した。

