免疫学:ワクチン接種は霊長類でHIVの広域中和抗体を誘導する
Nature 656, 8128 doi: 10.1038/s41586-026-10837-5
HIVの高い抗原多様性は、広域防御ワクチンを開発する上で主要な障害となっている。それでも、防御能を持つHIV広域中和抗体(bnAb)は存在しており、ワクチン開発の鋳型として提案されている。GT(germline targeting)は、bnAbを誘導するための概念的に革新的なワクチン設計手法である。この手法は、鋳型となるbnAbと共通する、既定のヒトの遺伝学的および構造的特徴を持つまれなbnAb前駆B細胞をプライミングし、その後、異種ブースターを用いてB細胞の親和性成熟により強力なbnAb進化を導くことを目的としている。この手法は、臨床研究と前臨床研究で有望であることが示されているが、多くの免疫学的課題に直面しており、これまで、ヒトや非トランスジェニック動物でbnAbを産生することには成功していない。今回我々は、非近交系の非ヒト霊長類におけるアジュバント添加タンパク質GTワクチンを試験した結果について報告する。このワクチンは、bnAbクラスの記憶B細胞と、多様なHIV臨床分離株を中和できる血清を生み出した。少なくとも50%の動物でbnAb系統が産生され、参照bnAbと比較して、最大67%の中和幅を達成した。ワクチンによって誘導されたbnAbは、ヒトbnAbとHIVエンベロープ(Env)の相互作用を構造的に正確に模倣しており、GTの予測と一致していた。さらに、44%の動物で血清bnAb活性が生じ、1例では、多様なHIV分離株に対する防御を付与すると予想される抗体価に達した。これらの結果は、GTワクチンが、内因性の免疫環境下で事前指定したエピトープに対する特定クラスのbnAbを再現性よく誘導できるという原理証明を実証しており、HIVワクチン開発に向けたこの手法のさらなる最適化を支持する。

