生化学:金属配位マイニングを用いた標的酵素の探索
Nature 656, 8128 doi: 10.1038/s41586-026-10716-z
近年のゲノム塩基配列解読とタンパク質構造予測における革命的進歩により、酵素機能を解明して予測し、さらに設計を試みる研究に新たな可能性が開かれた。こうした取り組みの中心となるのは新規酵素の発見と機能アノテーションであり、これらは遺伝子型と表現型の間のつながりを解明し、産業用生体触媒を開発するために不可欠である。しかし、酵素機能を正確に予測することは依然として非常に難しく、新規酵素の発見は偶然に依存することが多い。本研究で我々は、原子レベルの反応機構に関する原理に基づいてタンパク質構造データベースをマイニングし、標的とする金属酵素を発見する金属配位誘導型戦略を提示する。我々は、この枠組みをAlphaFold2 Protein Structure Databaseに適用して、FeII/α-ケトグルタル酸依存性ハロゲナーゼファミリーの新規メンバーを特定した。この酵素群は、非活性化C(sp3)–H結合を選択的に官能基化する。これは医薬品やその他の高付加価値化合物の製造に重要な変換反応である。このようなラジカルハロゲナーゼは、大規模で多様なcupinスーパーファミリーに属し、構成数の少ないクラスである。また、アミノ酸配列の保存性が低いため、ヒドロキシラーゼ、デサチュラーゼ、エピメラーゼなどの近縁ファミリーメンバーが形成する複雑な背景の中からこれらを発見することは特に困難であった。今回の金属配位マイニングという方法により、最小限の計算コストで、広範な系統学的空間にまたがっていて従来認められていなかった複数のラジカルハロゲナーゼファミリーが明らかになった。我々の予測は、2つの新規ラジカルハロゲナーゼAspXおよびBtnXを実験的に特性解析することによって検証された。特に、BtnXはラジカルハロゲナーゼとして前例のないほど広範な基質許容性を示し、広範な生体触媒用途への道を開く。

