高分子:ポリ塩化ビニルをポリアルファオレフィン潤滑剤にアップサイクルする
Nature 656, 8127 doi: 10.1038/s41586-026-10867-z
ポリ塩化ビニル(PVC)は、軽量で、機械的強度と耐久性に優れ、低コストで、耐紫外線性と耐火性があるため、家庭と産業で広く用いられている熱可塑性物質である。PVCは年間約6000万トン生産されており、消費者による使用後や産業利用後のPVC廃棄物には、地下水や土壌を汚染する塩化炭化水素や添加剤の浸出といった顕著な環境課題がある。PVCをリサイクルして炭素循環性を実現するという重大な課題に対処するには、関連コストを軽減し、プラスチック廃棄物の再利用に大きな金銭的インセンティブを与えられるよう、PVCの価値を高めて高価値製品にすることが不可欠である。今回我々は、PVCを、粘度を制御できる高価値潤滑剤にアップサイクルする方法を報告する。70℃という温和な温度でAlCl3を用いて、PVCを脱塩素化、アルキル化、鎖切断すると、ビニル由来ポリアルファオレフィン(vPAO)が生成された。PVCは、さまざまな鎖長のα-オレフィンのアルキル化の効果的なテンプレートとして機能し、現在のPAO技術に不可欠なメタロセン触媒を必要とせずに、主鎖中の短い分枝が制限されたvPAOを生成した。このPVC由来の潤滑剤は、調整可能なモル質量、100℃で約14.9~26.3センチストークスという動粘度(KV100)、約0.08~0.15という低い摩擦係数(COF)、最高で130という高い粘度指数(VI)を示す。本研究は、PVCを低コスト原料として用い、優れたトライボロジー特性を示す高価値潤滑剤を合成する経済的な手法を浮き彫りにしている。この手法は、プラスチック業界と潤滑剤業界の両方において持続可能性の要求を満たしている。

