超伝導エレクトロニクス:量子回路用の空気中安定な2D超伝導体の封止エピタキシー
Nature 656, 8127 doi: 10.1038/s41586-026-10865-1
二次元(2D)超伝導体は、強相関物理学と量子情報科学の両方を支える新たなプラットフォームとなりつつある。その低次元性、原子レベルで平坦な界面、高い結晶性は、超伝導回路における小型の集中定数素子デバイスを実現する上で特に魅力的である。しかし、単層2D超伝導体は空気中で容易に酸化されるので、その大規模合成は依然として困難である。今回我々は、大面積(1インチ以上)で、空気中で安定な単層の二セレン化ニオブ(NbSe2)薄膜(1L-NbSe2)の成長を可能にする「封止エピタキシー(encapsulation epitaxy)」機構を報告し、こうした薄膜の超伝導量子回路に向けた可能性を探る。本研究では、三次元(3D)基板(例えば、SiO2やSi3N4)上にあらかじめ堆積させたグラフェンや六方晶窒化ホウ素などの2D封止層が、封止層–基板界面において封止層の下にある1L-NbSe2のエピタキシャル成長のテンプレートとして働くと同時に、周囲環境による劣化から保護するキャップ層としても働くという、独特の成長現象を提示する。アズグロウン1L-グラフェン/NbSe2ヘテロ構造は、ロバストな超伝導性(超伝導転移温度Tc ≈ 1 K)と、増強された電荷密度波(CDW、CDW転移温度TCDW ≈ 177 K)を示した。我々はさらに、酸化を伴わない転写技術と超伝導エッジコンタクト技術を開発し、1L-NbSe2を超伝導回路に一体化できることを実証した。こうした回路中の1L-NbSe2の運動インダクタンスは、LK ≈ 0.7 nH □−1と測定され、高い運動インダクタンスを持つ素子を要求する量子回路に適している。この封止エピタキシー法は、空気中で安定な2D超伝導体とファンデルワールスヘテロ構造の作製を可能とし、ウエハースケールでの超伝導量子回路のモノリシック製造法として有望である。

