生物工学:AlphaFold3に基づく接触モデル化を用いた精密DNA塩基編集
Nature 656, 8127 doi: 10.1038/s41586-026-10794-z
生化学的変換において高い特異性を実現することは、研究にも治療にも極めて重要である。これはゲノム編集において特に重要であり、編集ツールの特異性を高めることで、効果的かつ精密な編集結果が保証される。現在の戦略は、活性と特異性のトレードオフ、労働集約性の高さ、成功率の低さによって制約されている。今回我々は、AlphaFold3(AF3)が予測する接触確率を用いてゲノムエディターの特異性を向上させる、人工知能駆動型フレームワークContactSeekについて報告する。我々は、Cas9–TadAアデニン塩基エディターを実証例として用い、それらのゲノム規模のオフターゲット部位をマッピングし、そのオフターゲットDNA配列をAF3に入力した。AF3の各種出力を比較したところ、オンターゲット複合体とオフターゲット複合体の相互作用の違いを検出する上で、接触確率は予測三次元構造よりも感度が高いことが分かった。ContactSeekは、接触確率を塩基配列解読に基づくオフターゲットシグナルと相関させることにより、DNAまたはガイドRNAとの接触が一貫して変化する、隣接したCas残基からなるコンセンサス接触領域を特定して順位付けし、その中にある特異性決定残基を突き止めた。ContactSeekはモジュール式に適用でき、TadA8eデアミナーゼ内の重要残基も特定した。標的化アンプリコン塩基配列解読、ゲノム規模プロファイリング、Rループアッセイ、RNA塩基配列解読を併用することによって、特異性の大幅な向上が確認された。中でも、Cas9とTadA8eに導入した2つの変異を組み合わせた最良のバリアントは、既知の複数の高忠実度アデニン塩基エディターを上回る性能を示した。ContactSeekは、Cas12aに基づくシトシン塩基エディターにも一般化できることが示された。まとめると本研究のフレームワークは、特異性向上に特化したAF3駆動型モデルであり、構造的次元と機能的次元を統合することによって、ゲノム編集ツールの精度を向上させるためのパラダイムを確立している。

