生態学:食物網の複雑性が、生態系機能に対する生物多様性の効果の基盤となる
Nature 656, 8127 doi: 10.1038/s41586-026-10710-5
生物多様性の変化は、生態系が提供する機能やサービスへの影響に関して広範な懸念を引き起こしている。単一の栄養段階においては、生物多様性が生態系機能に対して正の効果を及ぼすことを示す証拠が数多く存在するが、大半の生態系が2~6層の栄養段階を含むにもかかわらず、複数の栄養段階からなる食物網構造でこうした生物多様性の効果がどのように変化するのかは、いまだ明らかにされていない。本研究で我々は、海洋、湖沼、河川、土壌の生態系に由来する高解像度の複雑な食物網318例に関して、エネルギーフラックスを一次消費と捕食という2つの主要な生態系機能の代替指標として定量化することにより、食物網の複雑性が自然界において生物多様性と生態系機能の間の関係をどのように調節しているのか調べた。その結果、生態系機能は、全ての栄養段階および全ての生態系において、タクソン数とともに一貫して増大することが分かった。これは、分類学的に多様な食物網ほど、垂直方向の多様性(すなわち、最上位の栄養段階)が高く、捕食者の栄養的補完性が大きくなることに起因していた。さらに、捕食者の栄養的補完性は、全てのタイプの淡水生態系で捕食のエネルギーフラックスを増大させていた。これらの知見は、人為起源の撹乱に対して一般に最も脆弱である捕食者によって提供される、極めて重要な生態系機能(例えば、生物的防除、生物多様性の維持、生態系安定性の維持)に対する栄養構造の悪化(trophic downgrading)の脅威を明らかにしている。本研究は、生物多様性の変化が及ぼす影響が「生命の網(web of life)」の中で複雑に絡み合っていることを実証するもので、生物多様性と生態系機能の関係の基盤となる栄養構造の複雑性を保全する必要性を強調している。

