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有機化学:配位子が可能にする脂肪酸の遠位脱飽和的ラクトン化

Nature 656, 8126 doi: 10.1038/s41586-026-10826-8

遷移金属触媒反応は、不活性なC–H結合を有用な機能性モチーフに変換するための基本的な戦略である。しかし、遠隔C–H結合の位置選択的な活性化を実現することは、特に偏りのない炭化水素骨格においては依然として困難である。この状況では、立体配座の柔軟性が近位のC(sp3)–H結合活性化に有利に働くため、遠位のC–H結合は官能基化がとりわけ困難である。今回我々は、容易に入手可能な脂肪酸と環状酸原料から得られる、偏りのない脂肪族カルボン酸のγ-メチレンとメチンのC–H部位をパラジウム触媒を用いて活性化するため、設計されたO-アリルアミドエステル配位子を用いる、配位子によって可能になる戦略を実証する。このプロトコルは、脂肪族カルボン酸基質を、遠位に不飽和結合を持つγ-ラクトンや二重脱水素化γ-スピロラクトンへ直接変換できる。機構的研究の結果は、Pd(II)が媒介するγ-C(sp3)–H活性化に続いて、脱水素化と分子内環化が起こる経路と整合する。不飽和側鎖を持つこうしたラクトンは、複雑な天然物や医薬品の形成に向けた重要な中間体となる。例えば、この戦略を用いることで、ムリカタシン(トゲバンレイシ由来)とその類似体がマルガリン酸から3ステップで迅速に合成され、抗がん活性が評価されて、伝統医薬に関連する生物学的に重要な骨格に迅速に到達する上での今回の手法の可能性が実証された。今回提示した遠位脱飽和の手法は、遠隔官能基化への新たな道をさらに切り開くとともに、合成ステップの経済性と原子経済性の向上によって多様な生物活性分子の効率的な合成を可能にする。

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