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極性秩序:量子常誘電体SrTiO3におけるナノスケールの極性テクスチャーの画像化

Nature 656, 8126 doi: 10.1038/s41586-026-10823-x

原子の集団運動(フォノン)は、強誘電相転移に向けて冷却すると、最終的に静的な原子変位パターンが形成されて材料全体に自発分極を生じるまで減速(軟化)する。しかし、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)などの量子常誘電体では、イオン位置の量子ゆらぎが持続するため、低温でも長距離強誘電秩序が発現しない。SrTiO3では、量子常誘電性はTq ≈ 40 K以下で現れるが、これに先立って、有限波数ベクトルにおいて横音響フォノンモードが部分的に軟化する異常なフォノンダイナミクスが見られ、これはナノスケールの変調状態を示唆している。しかし、低温でのSrTiO3の精密な実空間構造は、数十年にわたる研究にもかかわらず依然として分解されていない。今回我々は、20 Kまで冷却可能な極低温走査型透過電子顕微鏡を用いて、SrTiO3薄片の低温極性構造を直接画像化した。高分解能の画像化によって、ナノスケールのドメインが空間的にゆらぐ様相が明らかになった。約105 K以下では、短距離の極性ドメインは、最初は自己組織化して数十ナノメートルにわたる周期構造を形成するが、Tq以下の量子常誘電領域に入るとこの過程が逆転し、周期的に秩序化した極性ナノドメインは、より小さいクラスターに細分化される。SrTiO3における量子常誘電性は、大きな誘電率、強誘電性への近接性、マルチフェロイック性、非従来型超伝導などの、顕著な特性の基盤となっている。今回の可視化結果は、こうした現象が、低温での極性ナノドメインの複雑な秩序化と無秩序化に結び付いている可能性を示唆している。

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