Article

化学合成:ハロゲン化物のインターカレーションによる磁性半導体ランタノイドMXeneの合成

Nature 656, 8126 doi: 10.1038/s41586-026-10802-2

二次元(2D)磁性半導体は、次世代の情報ストレージ技術やスピントロニクス技術に不可欠である。MXeneは、組成が多様で特性が調整可能なことから、機能性材料を設計するためのプラットフォームとなる。ランタノイド(Ln)を組み込むことで、強くスピン偏極した局在化4f電子が導入されると同時に、半導体挙動も実現できる可能性があり、磁性半導体実現への実行可能な手段がもたらされる。しかし、MAXの前駆体が希少であること、そしてLnがMoなどの他のM元素と比較して一般的なエッチャント(HFなど)に溶解しやすいことから、従来の「トップダウン式」エッチングによるランタノイドMXene(Ln2CT2)の合成が阻まれている。今回我々は、層状ハロゲン化物をファンデルワールス構成要素として用いてLn2CT2(Ln = Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Lu;T = Cl、Br)を合成する、一般的な「ボトムアップ式」方法を提示する。多層Ln2CT2は、1.26~1.71 eVにわたる光吸収オンセット、0.329~36.1 Ω cmの室温抵抗率と負の温度係数、2 Kでの低温強磁性ヒステリシス、そして6~59 Kの正のキュリー・ワイス温度を特徴とする、組成調整可能な特性を示した。理論計算によって、裸のLn2Cではフェルミ準位(Ef)近傍のd電子状態が大きく減少しており、表面終端がこうした状態をさらに枯渇させてバンドギャップを開くことが示された。一方、Ln2CT2において、Efから大きく離れた位置にある高度に局在化した4f電子は、観測された強磁性挙動につながるスピン分裂に寄与していた。Ln2CT2は、こうした半導体特性と磁気特性を兼ね備えているため、スピントロニクスデバイス応用向けの有用な候補となる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度