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海洋科学:海洋鉄肥沃化の気候便益と生態学的コストのトレードオフ

Nature 656, 8126 doi: 10.1038/s41586-026-10795-y

海洋鉄肥沃化(OIF)は、二酸化炭素除去(CDR)戦略として可能性があると議論されている。しかし、気候上の便益と生態学的コストとのトレードオフについては、まだよく分かっていない。今回我々は、海洋生物多様性と生物地球化学を検証された形で表現し、多様な過程を組み込んだ海洋生物地球化学モデルを用いて、10カ所の海洋バイオームの肥沃化の可能性と生態系への影響を60年にわたって定量化した。我々は、気候と生態系のトレードオフには地域差があり、CDR効率が同程度のバイオームがもたらす生態学的結果が対照的であることを見いだした。南極海と赤道太平洋は、異なる経路を通じて最高効率を達成しており、南極海では、下流域への非局所的な炭素移出によって、赤道太平洋では下流域での損失を伴う局所的な移出によって高効率が得られていた。これは、肥沃化によって生じたブルームが源水の主要栄養素を枯渇させ、非局所的な生産力を抑えるためである。その結果、赤道域での肥沃化は、より高次の栄養段階へのエネルギー流を減少させ、酸素極小層(OMZ)を拡大するとともに大型動物プランクトンの生物量を減少させた。こうした生態系への影響は、肥沃化の展開をより高緯度域へ移すことで回避できる可能性がある。肥沃化後の回復実験では、南極海の生態系におけるレジリアンスが明らかになったが、赤道太平洋では地域的な鉄の保持により摂動が持続した。気候上の便益と生態学的リスクを釣り合わせることで3つの区分が得られた。すなわち、南極海は高効率・低リスク、赤道太平洋および全球肥沃化は高効率・高リスク、亜熱帯は低効率・中リスクである。60年間の肥沃化による正味のCDRは1.1~5.3 ppmであったが、その半分以上が肥沃化後の数十年以内に再放出された。この局所的な介入と全球的帰結の乖離は、ロバストな炭素クレジットの算定を困難にし、公平性とガバナンスに関する懸念を生じさせている。

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