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植物科学:低温誘導性ペプチドシグナル伝達が花粉の低温耐性と作物収量を確保する

Nature 656, 8126 doi: 10.1038/s41586-026-10603-7

低温の気象は深刻な作物損失を引き起こす。気候変動は、こうした気象事象の予測を困難にし、その発生頻度を大幅に上昇させており、このため、低温に対する抵抗力の高い作物の必要性を際立たせている。低温によって誘発される花粉の退化と、花成期の生殖不全が収量損失の主な原因である。しかし、花粉の発生における低温耐性の基盤となる分子機構とシグナル伝達経路は、まだよく分かっていない。今回我々は、RGF–GLV–CLELファミリーに属する低温応答性の小型シグナル伝達ペプチドの一群であるSlRGF9とSlRGF10が、トマト花粉の低温耐性を制御していることを特定した。SlRGF9とSlRGF10を喪失させたトマト(Solanum lycopersicum)は、正常な条件下では何も異常が認められなかったが、低温ストレス後に花粉退化が観察された。ロイシンリッチリピート受容体様キナーゼであるSlRGFR6とSlSERKタンパク質は、これらの低温誘導性SlRGFに結合する細胞表面の受容体複合体を形成する。さらに、SlRGF–SlRGFR6シグナル伝達は、環状ヌクレオチド依存性チャネルを介したカルシウム流入を活性化し、低温によって遅延したプログラム細胞死を正常化して、タペート組織の分解を確実に進行させ、微小胞子の発生を支える。トマトにおいて、SlRGF9とSlRGF10の発現を増加させると、低温による収量損失を、最大52%防ぐことができた。この低温応答性のペプチドシグナル伝達経路は、双子葉植物と単子葉植物を通じてよく保存されている。例えば、イネ(Oryza sativa)でRGF相同遺伝子の発現を増加させると、花粉の低温耐性が高まり、穀粒収量の損失の18.3%を回復できた。これらの知見は、花粉の低温耐性を統御する中核的なペプチドシグナル伝達軸を明らかにし、この軸が低温ストレスに対抗して作物生産性を守るために幅広く役立つ可能性を示している。

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