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大気化学:大気粒子の核生成と成長におけるメタンスルホン酸の役割
Nature 655, 8125 doi: 10.1038/s41586-026-10810-2
海洋植物プランクトン由来のジメチルスルフィド(DMS:CH3SCH3)は、大気中の硫黄の重要な供給源である。その酸化生成物には、硫酸(SA;H2SO4)とメタンスルホン酸(MSA;CH3SO3H)が含まれ、10℃未満ではMSAの収率はSAより高い。SAは新しい粒子の形成を駆動することが知られており、形成された粒子はその後成長して雲凝結核(CCN)として作用する可能性がある。しかし、MSAの役割はまだよく分かっていない。今回我々は、CERNのCLOUD(Cosmics Leaving OUtdoor Droplets)チャンバーにおいて大気条件下で実施した実験により、−10℃以下ではMSAがアンモニア(NH3)と共に核生成し、その速度がSA-NH3系に匹敵することを示す。さらに、−10℃未満では、MSAとSAが相乗的に核生成し、NH3と共に多酸分子クラスターを形成する。NH3濃度が極めて低い場合でも、9℃未満かつ相対湿度(RH)40%超の条件では、MSAが速度論的限界またはその近い速度で粒子の成長を駆動する。寒冷な海域では、一般的にMSAとSAは同様の濃度で共存する。このため、今回の知見は、SA-NH3単独の場合と比べて、核生成速度が最大10倍、成長速度が最大2倍に加速され得ることを示している。今回の全球モデルシミュレーションは、MSAが、特に極域においてCCN濃度を高め得ることを示している。我々は、MSAが、現在と産業革命以前の両方の大気において、寒冷で清浄な海域の生物起源の粒子を形成する重要な駆動因である可能性があるが、全球気候モデルではまだ考慮されていないと提案する。

