Article

生物多様性:全球規模の変化の下での知識の森

Nature 655, 8125 doi: 10.1038/s41586-026-10741-y

アマゾン川流域は地球の陸上生物多様性の10%以上を支え、400を超える先住民集団の居住地となっている。しかしこれまで、気候変動と先住民言語の喪失が、アマゾン川流域の生物学的・文化的遺産に対して同時にどのような影響を及ぼす可能性があるかを評価した研究はない。この空白を埋めるべく、本研究で我々はまず、アマゾン川流域の全ての国々で在来植物がもたらしている社会的恩恵を理解するために、700件の文献から9万536件の報告を集めてデータベースを構築した。その結果、人間は5796種の在来植物を利用していることが分かった。これは、アマゾンに生育する既知の維管束種子植物相の3分の1に相当する。次に我々は、8429種について種分布モデルを3つの将来気候シナリオ(SSP1–2.6、SSP3–7.0、SSP5–8.5)にわたって解析し、2060~2080年までに、気候変動が利用種の分布域を非利用種の分布域よりも大きく減少させることを見いだした。局地的には、先住民文化は気候変動によって、利用植物種の平均28~34%とそれらに付随するサービスの18~23%を失う可能性がある。地域的には、危機に瀕した先住民言語の喪失が、アマゾン川流域における知識プールの26%の減少につながる可能性がある。まとめると我々の結果は、アマゾン川流域の生物文化遺産が気候と言語の両面で著しく脆弱であることを示している。同時にこれらの結果は、一般公開されている我々のデータセットと共に、生物文化的な復元に指針を与え、全球規模の変化が生態系および文化的伝統に及ぼしている、ますます増大する影響を減少させるのに役立つ可能性がある。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度