Article

天文学:アトラス彗星の低温・遠方起源を示す同位体組成の証拠

Nature 655, 8124 doi: 10.1038/s41586-026-10771-6

恒星間天体は、他の星の周囲で形成された氷微惑星のうち、直接観測可能な唯一の例であり、従って系外惑星形成の過程で生じる物理的および化学的条件の多様性について知見をもたらし得る。本論文で我々は、恒星間天体アトラス彗星(3I/ATLAS)の同位体測定の結果を報告し、その元素組成が太陽系のいかなる天体とも異なることを明らかにする。アトラス彗星の水は重水素に富んでおり、その存在比率はD/H = (0.98 ± 0.06)%で、この値は既知の彗星の値よりも1桁以上高い。また、その12C/13C比の範囲(CO2では141–191、COでは123–172)は、太陽系で見られる典型値のみならず、近傍の星間雲や原始惑星系円盤で見られる典型値も上回る。こうした極端な同位体組成の特徴は、この彗星が、比較的金属量の少ない環境において≲ 30 Kの温度で形成されたことを示している。銀河系の化学進化モデルに照らして解釈すると、この炭素同位体組成は、アトラス彗星が、最大120億年前に、激しい星形成期の後で集積した可能性を示唆している。従って、アトラス彗星は、太古の惑星系の保存された断片である。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度