環境科学:極めて断片化され再生の必要性が一様でないヨーロッパの湿地
Nature 655, 8124 doi: 10.1038/s41586-026-10760-9
ヨーロッパの湿地には大量の炭素が蓄えられているが、数世紀にわたる土地利用によって、炭素貯蔵量と生物多様性が損なわれてきている。欧州連合(EU)の自然再生法(NRL)は、「良い状態」にない湿地生態系の少なくとも30%を2030年までに再生することを求めているが、湿地の種類と状態に関する空間的に一貫した情報はまだ十分でない。今回我々は、10 m解像度の人工衛星画像と機械学習を用いて、ヨーロッパの38カ国にわたる6種類の開けた半自然湿地と、土地利用による撹乱状況をマッピングした。その結果、湿地は極めて断片化されており、湿地面積の推定27~33%が地図上で25 ha未満と定義されるパッチに、7~11%が1 ha未満のパッチに存在することが示され、解像度の低い従来の地図データでは多くの小規模湿地が見落とされていたことが明らかになった。湿地面積の20.4 ± 3.4%(95%信頼区間)が人間活動の影響を受けていると推定され、内陸湿地が最も大きな影響を受けていて、撹乱を受けていない状態を基準とすると、二酸化炭素換算で最大5 Gtの土壌炭素が失われた可能性があると見積もられた。撹乱を受けた面積をNRLの再生目標に換算すると、いくつかの国の公約は我々の2030年の推定値とおおむね整合していたが、他の国に関しては、我々の地図で相当な面積の候補地が特定されたにもかかわらず、定量的な取り組みが不足していることが分かった。得られた標準化高解像度データは、NRLに合わせたEU全域のベースラインと、人工衛星によるマッピングを再生目標へと結び付ける再現可能なテンプレートを提供しており、これは進捗の追跡に役立つ。

