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化学:触媒を用いず微小液滴を介する廃プラスチックの二塩基酸への変換
Nature 655, 8124 doi: 10.1038/s41586-026-10746-7
プラスチック廃棄物の蓄積は、環境にも公衆衛生にも世界的脅威をもたらす。触媒を用いた付加価値化学品へのアップサイクリングは有望だが、その工業的採用は、添加剤に起因する触媒の失活、原料の不均一性、プロセスの柔軟性の乏しさ、限定的な経済的実行可能性によって阻まれている。今回我々は、微小液滴界面におけるヒドロキシルラジカルのin situ生成を利用し、ポリオレフィンからゴムに至る多様な廃プラスチックを温和な条件下で酸化開裂してカルボン酸に変換する、触媒不要のアップサイクリング戦略を報告する。この手法は、触媒依存的な経路を排除することによって、技術的障壁とコストを大幅に低下させるとともに、触媒設計と触媒被毒という主要な課題を回避する。今回の方法によって、比較的温和な条件下でポリエチレン(PE)から短鎖二塩基酸への選択的な完全変換が69%近い収率で達成され、市販の混合プラスチックへの広範な適用可能性と最大で300 g規模のスケーラビリティーが実証された。また、ラジカル中間体の解析によって、H2Oが、アルカンの古典的な好気的液相酸化とは異なる、アルキルラジカルへのヒドロキシルラジカルの逐次的付加という特異な酸化的分解機構を媒介する上で、極めて重要な役割を担うことが明らかになった。この界面ラジカル媒介戦略によって、最小限のインフラで持続可能な高分子(ポリマー)のアップサイクリングが可能になる。さらに広い観点では、今回の研究は、我々の知る限り初めての微小液滴化学の工業的実現に向けた、スケーラブルな青写真を提供するものであり、有機酸合成をはじめとする酸化プロセスに変革をもたらし得る。

