分子生物学:核におけるポリアデニル化RNAの運命決定の分子基盤
Nature 655, 8124 doi: 10.1038/s41586-026-10650-0
真核生物ゲノムは、膨大な種類のポリアデニル化(pA+)RNAを作り出し、これらはリボ核タンパク質粒子(RNP)へとパッケージングされる。正確な遺伝子発現を確保するために、タンパク質をコードするRNPなど、機能性pA+ RNPは細胞質へ運び出される一方、非機能性pA+ RNP内の転写産物は核内で分解される。細胞がこれらの相反する運命をどのように識別しているかは分かっていない。DExDボックスATPアーゼであるUAP56(DDX39Bとしても知られる)は機能性pA+ RNPの中心的な構成要素であり、こうしたRNPが核膜孔複合体に係留されたTREX-2へ結合すること促進する。TREX-2は、UAP56からの転写産物の放出を引き起こし、核外輸送を促進する。今回我々は、PAXT複合体(poly(A) tail exosome targeting connection)がTREX-2様モジュールに結合することを明らかにする。このモジュールは、pA+ RNAをUAP56から放出させ、核エキソソームによる分解へと導く。このモジュールの中核はLENG8–PCID2–SEM1三量体からなり、これが構造的にも生化学的にもTREX-2の中核であるGANP–PCID2–SEM1三量体と同等であることが分かった。変異誘発およびトランスクリプトームデータから、pA+ RNPの核内運命は、核質のPAXTと核膜孔複合体に結合したTREX-2との競合的作用によって支配されていることが示された。RNAに結合したUAP56を、PAXTはRNA分解、TREX-2はRNA核外輸送のシグナルとして解釈する。PAXTが標的とするRNAは一般的に短く、イントロンが少ない。このため我々は、PAXTとTREX-2の異なる核内局在が、短い非機能性pA+ RNAの分解を支配する一方、それに対応するより長い機能性のpA+ RNAの核外輸送を可能にするという、pA+ RNPの運命決定についての全体的モデルを提案する。

