人工知能:Co-Scientistによる科学的発見の加速
Nature 655, 8122 doi: 10.1038/s41586-026-10644-y
科学的発見は、科学者が複雑な問題に対して仮説を生成し、その仮説が厳密な実験的検証を経ることによって駆動される。今回我々は、この過程を増強するためのマルチエージェント人工知能(AI)システムであるCo-Scientistを紹介する。このシステムはGemini上に構築されており、構造化された科学的思考と仮説生成を行う。Co-Scientistは、科学者が新しい独自の知識を発見することの支援を目的としている。研究目的とこれまでの科学的証拠を条件として、Co-Scientistは、実験的検証のための明確に新規な研究仮説を考案する。このシステム設計では、エージェントが継続的に仮説を生成、批評、改良する過程を、検証時の計算スケーリングによって加速する。重要な貢献は、(1)柔軟な計算スケーリングを可能にする非同期タスク実行フレームワークを備えたマルチエージェントアーキテクチャー、(2)仮説生成を自己改善するためのトーナメント進化過程である。自動評価では、検証時の計算スケーリングが継続的な利益をもたらし、仮説の質を改善することが示された。Co-Scientistは汎用システムであるが、3つの生体医用応用(ドラッグリパーパシング、新規標的の発見、抗菌薬耐性機構の説明)での検証に重点を置いた。具体的には、Co-Scientistは急性骨髄性白血病に対する新しいドラッグリパーパシング候補と相乗的併用療法の特定を支援し、それらはin vitro実験によって検証された。こうしたリアルワールドでの検証は、科学的発見を加速し、AIを活用した科学者の時代を到来させるCo-Scientistの可能性を示している。

