Article
電池:高エネルギーLi–S電池における競合的界面反応を明らかにする
Nature 655, 8122 doi: 10.1038/s41586-025-09473-2
固–液界面における電荷移動は、さまざまなエネルギー貯蔵システムにおいて、特に反応物質濃度が動的に変化する場合に、極めて重要な役割を果たす。こうした複雑な反応経路の解明は、高エネルギー密度を達成するために高濃度のリチウムポリスルフィド(LiPS)の効率的な変換を必要とするリチウム–硫黄(Li–S)電池では特に、依然として大きな課題である。しかし、希薄電解液条件下で硫化リチウム(Li2S)の析出と溶解を支配する機構は、まだほとんど分かっていない。今回我々は、in situ液体セル電子顕微鏡法を用いて、電極–電解液界面における濃度駆動型の相分離を直接可視化した。こうした高濃度界面層(HCIL)内では、競合的な表面と溶液が電荷移動ダイナミクスを決定付け、最終的に異なる相境界におけるLi2S析出を支配する。密度汎関数理論(DFT)の計算により、LiPSの凝集が分子の形状、電子的特性、軌道混成を変化させ、それらが相まって高濃度LiPSクラスターを介した電荷移動を促進することが明らかになった。我々は、こうした洞察を指針にして、界面反応経路のバランスを取る最適化電極を設計し、高速充電(4 C、26.8 mA cm−2)を可能にするとともに、400 Wh kg−1を超える高エネルギー密度を実現した。これらの知見は、実用的な動作条件下の界面反応に関する機構的理解をもたらすとともに、Li–S電池を進展させる設計戦略を提供する。

