機械学習:深層学習によって見つかった心臓突然死に対する心電図バイオマーカー
Nature 655, 8121 doi: 10.1038/s41586-026-10674-6
心臓突然死は、理論上は除細動器によって防ぐことができる。しかし、医師がそのリスクを予測できないため、毎年多くの患者が除細動器を適用されないまま死亡している。広く用いられている唯一の予測バイオマーカーである左室駆出率(LVEF)は、心臓突然死のほとんどを検出できない上、多くの低リスク患者を、作動することのない無益な除細動器の対象として拾い上げてしまう。本研究で我々は、スウェーデンのある地域の、全ての心電図(ECG)を死亡診断書と関連付けたデータセットに対して、深層学習を適用した。得られたモデルによって、心臓突然死の年率が7.0%である高リスク群(サンプルの2.2%)が分離された。この割合は、LVEF低下群(サンプルの1.9%、年率4.6%)よりも高い。注目すべきことに、このモデルが高リスクとした患者の86.1%は、LVEFでは拾い上げられていなかった。除細動器を埋め込まれたECG高リスク群の患者では、死亡する可能性が期待値よりも54.4%低かった。これは、死亡率の低下という利益を示唆している。このモデルを米国の医療システムで外部検証したところ、突然死の原因となる心室性不整脈が予測された。さらに、台湾の病院レジストリでは、将来的な不整脈性心停止が特異的に予測された。予測モデルが「発見」した波形形態を視覚化するために、我々は、それをECG波形の生成モデルと組み合わせた。両者によって、容易に視認でき、心臓突然死をロバストに予測するものの、我々の知る限りこれまでは報告されていなかったバイオマーカーが明らかになった。我々は、このバイオマーカーの形態を電気生理学の第一原理と結び付けることで、心臓突然死の機序に関する新たな仮説を立て、予備的に検証した。

