Article

腫瘍学:スペルミンは内在性鉄キレート剤でフェロトーシスを阻害する

Nature 655, 8121 doi: 10.1038/s41586-026-10597-2

フェロトーシスは、脂質の過酸化によって駆動される鉄依存性細胞死の一形態である。今回我々は、スペルミジンに由来するポリアミンであるスペルミンが、フェロトーシスを直接的に抑制する内在性の鉄キレート剤であることを突き止めた。我々は、メタボロミクス、安定同位体追跡、スペルミンとFe2+イオンの相互作用に関する生物物理学的解析を統合し、ALDH18A1(aldehyde dehydrogenase 18 family member A1)が、スペルミンのde novo合成のための代替的なグルタミン依存性経路を促進することを示す。この過程は、肝細胞がんでは鉄の利用可能性と脂質の過酸化を制限する。ノックアウト、あるいはアデノ随伴ウイルス(AAV)を用いたショートヘアピンRNAの送達によるALDH18A1の遺伝学的阻害、ならびに小分子阻害剤YG1702によるALDH18A1の薬理学的阻害は、フェロトーシスを誘発し、自然発生性および化学誘発性の肝細胞がんの発生の両方を妨げた。逆に、スペルミンを補充すると、肝臓、腸、腎臓をはじめとする多数の組織が、フェロトーシスに関連した虚血再灌流障害から保護された。これらの知見は、スペルミンを介した鉄キレート化がフェロトーシスを抑制するという、病態生理学的に重要な代謝回路の存在を明らかにしている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度