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ナノ流体工学:水中でのカーボンナノチューブの光誘起量子摩擦
Nature 654, 8120 doi: 10.1038/s41586-026-10632-2
摩擦は、巨視的スケールと微視的スケールのいずれにおいても動く物体を減速させる。電子レベルでは、量子摩擦によって、液体と固体の電子との間での運動量の直接移動が記述される。この現象は本質的に微視的であるため、実験で捉えることはいまだに困難である。今回我々は、近赤外蛍光性の単層カーボンナノチューブ(SWCNT)が、水中で光誘起量子摩擦を示すことを明らかにする。この量子摩擦は、水溶液中で、官能基化されたSWCNTの拡散定数が励起パワーに依存して約50%線形に低下するのを観測することにより、測定された。この効果は、量子欠陥を伴うSWCNTの場合のように、励起子が局在化すると消失した。さらに我々は、SWCNTの蛍光を増加あるいは減少させる分子による励起子濃度の化学的操作によっても、拡散定数が最高2倍まで調節されることを示す。光励起テラヘルツ(THz)プローブ分光法によって、水のデバイモードの範囲内における直接的な励起子–水結合に帰属される、瞬間的応答(約30 cm−1)が示された。この応答に続いて、水の水素結合ネットワークの分子間並進運動モード(> 100 cm−1)の範囲内において、加熱に似た応答の増大(> 100 ps)が現れた。古典的な分子動力学シミュレーションによって、励起子の双極子モーメントのゆらぎが摩擦力を生み出すという機構がさらに裏付けられた。これらの知見は、SWCNT中の励起子と水の間での光誘起量子摩擦を確認するとともに、電子励起を用いればナノスケールの運動と流体特性を制御できることを示している。

