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ウイルス学:オミクロン株のスパイク融合中間体における抗体結合の立体障害
Nature 654, 8119 doi: 10.1038/s41586-026-10462-2
コロナウイルスのスパイクタンパク質のコンホメーション変化を理解することは、広域治療を開発するために極めて重要である。汎コロナウイルスエピトープであるスパイクの815番から825番の残基(S2′部位を中心とする)は、融合前のスパイクでは埋もれているが、ACE2に結合すると一時的に露出する。本論文で我々は、統合的な機能・構造解析を用いて、スパイクの815〜825番残基を標的とする抗体76E1が、開いた初期融合中間コンホメーションを特異的に認識することを実証する。このコンホメーションでは、815〜825番残基からなるこのエピトープがS2′-ヘリックスと名付けたヘリックス構造をとっている。SARS-CoV-2のオミクロン変異株は、初期融合中間コンホメーションにおけるS2′-ヘリックスのシフトとS1–ACE2間距離の制限に起因する立体障害を介して、このような抗体を回避する。さらに、カテプシンを介した侵入への依存度が高まることで、76E1によるS2′切断の阻害が損なわれる。H655Y変異が、この回避の中心的な役割を担っている。抗体のサイズは、そのS2′-ヘリックスへのアクセスに直接影響を及ぼす。重要なことに、抗体サイズを最小化することで、その回避機構が無効化され、真正オミクロン変異株および、SARS-CoV-1やHCoV-229Eなど、他のヒトコロナウイルスに対する中和活性が有意に増強された。これらの結果は、小分子によるS2′-ヘリックスの標的化が汎コロナウイルス治療のための戦略であることを明らかにしている。

