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神経科学:母親の脳に持続的なリモデリングを促すドーパミン
Nature 654, 8118 doi: 10.1038/s41586-026-10509-4
妊娠と産後の経験は、母親の体と脳に永続的な要求を課す変容的な生理的状態であり、その結果、生涯にわたる神経適応が生じる。しかし、こうした永続的変化を駆動する正確な分子機構はよく分かっていない。今回我々は、生殖経験によって誘発される神経可塑性の分子景観を明らかにするために、脳規模のトランスクリプトームプロファイリングを用いて、背側海馬体(dHF)が転写リモデリングの鍵となる部位であることを突き止めた。マウスで、単一細胞RNA塩基配列解読と母仔分離パラダイムを組み合わせたところ、慢性的な産後ストレスがドーパミン動態を変化させることでdHFの適応を顕著に阻害し、その結果、ドーパミン依存的なヒストンの翻訳後調節の変化であるH3ドーパミニル化がもたらされ、それが下流の遺伝子発現と行動の変化を因果的に引き起こすことも分かった。ヒトのdHF内の脳構造である背側海馬台でも、H3ドーパミニル化と転写に、出産依存的変化の保存されたパターンのあることが分かった。さらに、dHFへのドーパミン放出の化学遺伝学的抑制(これにより、未交尾の雌マウスにおける生殖経験の主要なエピゲノム的および行動的特徴が再現された)を介して、これらの適応の調節にはドーパミン変化のみで十分であることが実証された。今回の知見をまとめると、ヒトとマウスで、ドーパミンが出産により誘発される神経適応の中心的な調節因子であることが示され、雌の生殖経験が脳をリモデリングして長期的な行動適応を維持する基本的な転写機構であることが明らかになった。

