Article
土壌微生物学:10年にわたる温暖化は草原土壌の薬剤耐性を加速する
Nature 654, 8118 doi: 10.1038/s41586-026-10413-x
土壌は、抗生物質耐性遺伝子(ARG)の極めて重要なリザーバーである。ARGは、微生物間相互作用や環境条件によって強く形作られるため、撹乱に対して非常に敏感である。気候温暖化は、微生物群集とそれらの機能に対する最も重要な撹乱の1つとして認識されているが、土壌のレジストームへの影響はまだほとんど理解されていない。今回我々は、実験と計算を統合した手法を用い、草原の土壌において、10年にわたる実験的温暖化がARGに及ぼす影響を調べた。その結果、温暖化の下ではARGの存在量が大幅に増加し(23.9%)、これは特に、糖ペプチド系抗生物質とリファマイシン系抗生物質に対する耐性遺伝子で顕著なことが明らかになった。温暖化は、さまざまな潜在的植物病原体など、放線菌門のARG保有細菌の割合を特異的に増大させ、ARGの可動性を高めた。また、前例のない大規模な単離株ベースの表現型解析によって、温暖化が複数の抗生物質に対する細菌の耐性を高めることも確認された。さらに機構解析からは、温暖化が、主に適応形質(例えば、熱耐性や窒素同化)と物理的に結び付いている耐性遺伝子の共選択と、熱耐性遺伝子に対する正の選択を通じてARG存在量を増加させていること、そしてこの増加が、遺伝子の水平伝播を介してさらに増幅され得ることが明らかになった。まとめるとこれらの知見は、気候温暖化がゲノムレベル、生態学的レベル、進化レベルで土壌の抗生物質耐性を大幅に加速させることを説得力を持って実証しており、温暖化する世界における公衆衛生と環境の持続可能性に広範な含意を持つ。

