構造生物学:卵母細胞の細胞質格子構築の分子基盤
Nature 654, 8118 doi: 10.1038/s41586-026-10360-7
哺乳類の卵母細胞は、細胞質格子(CPL)と呼ばれる繊維状構造で満たされており、これは卵母細胞の成熟と胚の初期発生に不可欠である。CPLは、皮質下母性複合体(SCMC)とPADI6などの複数の成分で構成されている。CPLが最初に見つかったのは1960年代だが、その分子構造と組み立て機構はまだほとんど分かっていない。今回我々は、マウス卵母細胞から単離したCPLのクライオ電子顕微鏡構造を示す。我々の解析によって、14の構成的タンパク質サブユニットが見つかり、CPLがU字形のかご状構造(UB)と環状アダプター(AR)からなる反復単位で構成され、繊維状構造を作っていることが明らかになった。ARは2回対称のコンホメーションをとり、NLRP4Fサブユニット2個、SCMCサブユニット4個、ZBED3サブユニット2個を含んでいて、それらは相互作用する2個の別々のクラスターを介して環状に並んでいる。UBを固定しているのは二十量体であるPADI6で、これは背中合わせの2個の五量体によって組み立てられたホモ二量体10個からなり、2個の五量体それぞれがUBの側面を形成している。UBの足元の土台部分と上側下側は、複数の点対称な集合体(前者はUBE2D3–UHRF1–NLRP14、後者はTUBB2B–TUBB2A–FBXW24–SKP1)によって形成され、PADI6五量体と結合して完全なUB構造を形成している。各AR内の2個のSCMC二量体は、広範なタンパク質–タンパク質相互作用ネットワークによって2個の隣接するUBの上側下側をつなぎ、それによって隣り合うCPL単位間の反復型の連結構造を維持している。今回の研究によって、この大型で周期性を持つCPL繊維の組み立て原理が明らかになり、CPLが哺乳類の初期胚発生や女性の生殖障害で見られるCPLの機能を解明するための分子基盤が得られた。

