集積光学:マミシェフ発振器を用いた高パルスエネルギー集積モードロックレーザー
Nature 654, 8117 doi: 10.1038/s41586-026-10517-4
超高速レーザーは、科学技術全般にわたる数多くの進歩につながっており、角膜手術の実現、化学反応動力学の解明、そして光原子時計の開発のきっかけをもたらした。小型でウエハースケールでの製造が可能であり、さらなるオンチップ機能と互換性のある、フォトニック集積回路(PIC)に基づくモードロックレーザーの実現を目指して、過去数十年にわたり多大な努力が払われてきた。しかし、これまでの実証では、スーパーコンティニューム生成などの非線形過程を駆動するのに必要なパルスエネルギーが不足していた。今回我々は、エルビウムイオンを注入した窒化ケイ素(Er:Si3N4)のPICを使用することでこの課題を克服する、モードロックレーザーを実証する。このレーザーは、マミシェフ発振器アーキテクチャーに基づくもので、交互に働くスペクトルフィルタリングと自己位相変調によってモードロックを実現し、大きな非線形位相シフトに対応する。このレーザーは外部シードなしに動作し、ナノジュール級のパルスエネルギーを有する176 MHzのパルス列を供給する。この性能は、ファイバーレーザーに匹敵し、従来のPICに基づく光源を2桁上回る。この出力は、高いコヒーレンスを示し、147 fsまで線形圧縮でき、さらなる増幅を全く必要とせずに、Si3N4導波路内で1.5オクターブにわたるスーパーコンティニュームを直接駆動することができる。この光源で駆動される小型のテラヘルツ時間領域分光計によって、5 THzの帯域幅と90 dBのダイナミックレンジが実現した。我々は、非接触の化学分析および検査へのその応用を実証した。今回の結果は、集積超高速レーザーの可能性を示すものであり、その用途は、チップスケールの周波数計測から携帯型分光システムまで多岐にわたる。

