遺伝学:1000人の中国人パンゲノムは遺伝医学と集団遺伝学を促進する
Nature 654, 8117 doi: 10.1038/s41586-026-10315-y
パンゲノムは、複雑な多様性を持つゲノム領域を解き明かす我々の能力に革命をもたらしている。しかし、既存のヒトパンゲノムはサンプルサイズが小さいという制約があり、遺伝医学や集団遺伝学の応用では有用性が限られている。今回我々は、1000人の中国人パンゲノム(1KCP:1000 Chinese Pangenome)計画の一環として、平均サイズが2.98 Gb、平均QV(quality value)が46である、1116の二倍体ゲノムアセンブリ(55がde novoアセンブリ、1061がPIGA〔pangenome-informed genome assembly〕)を作成した。我々は、これらのアセンブリを基盤として、現在の参照ゲノムGRCh38とCHM13には存在しない4億530万塩基対の配列(機能的遺伝子エレメントおよび予測される調節エレメントを2620万塩基対含む)からなるパンゲノムを構築した。我々は、3540万の小さなバリアント、11万530の構造バリアント(SV)、48万5575の縦列反復配列(TR)、非参照塩基配列に埋め込まれた86万の入れ子型バリアントを含む、遺伝的多様性の全範囲のカタログを作成した。この広範なデータセットにより、遺伝子を変化させるSV、TRの伸長、遺伝子クラスターの多様性、HLA遺伝子ハプロタイプなど、遺伝医学に関係するマルチスケールでの遺伝子多様性の特徴を詳細に明らかにすることができた。我々はまた、1KCPの遺伝子発現データと組み合わせて、パンバリアントの発現量的形質座位(eQTL)のマッピングを行い、多様なバリアントタイプを解析した。その結果、複雑なバリアント(SV、TR、入れ子型バリアント)が関与する3256のeQTLが特定され、それらの調節の複雑性が明らかになった。さらに我々は、1KCPのパンバリアントのインピュテーション参照パネルを開発した。これは、今後の関連研究の分解能を高めるための、マルチタイプの遺伝的マーカーを提供する。この情報資源は、複雑なバリアントとそれらの機能的意義についての我々の理解を深め、ヒトの健康について新たな洞察をもたらす。

