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天文学:高赤方偏移に位置する「小さな赤い点」におけるブラックホール質量の直接測定
Nature 653, 8116 doi: 10.1038/s41586-026-10579-4
赤方偏移のフロンティアにおける暗い活動銀河核(AGN)の最近の発見により、可視光域で赤い連続光を伴う幅広いHα輝線を持つ多数の天体が明らかになった。「小さな赤い点(LRD)」と名付けられたこれらの天体は、高赤方偏移にある広輝線AGN集団の15~30%を占めている。それらの特異な性質のために、標準的なAGNシナリオを用いたLRDのモデル化は困難であることが分かってきた。特に、LRDのブラックホール質量を決定する際、単一時期の観測に基づいてビリアル質量を推定することの妥当性は疑問視されており、いくつかのモデルでは、質量が最大で2桁過大評価されている可能性があると主張されている。本論文で我々は、赤方偏移7.04に位置する、強い重力レンズ効果を受けたLRDにおいて、ブラックホール質量の直接的で力学的な測定を行った結果を報告する。重力レンズ効果と深分光データの組み合わせによって、中心核星団のものとは整合しない回転曲線が明らかになったが、これは太陽質量の5000万倍の質点周囲のケプラー回転でよく説明でき、この質量はビリアル定理によるブラックホール質量の推定と整合する。我々が保守的にMBH/M* > 2(MBHはブラックホール質量、M*は恒星質量)と推定するように、母銀河内に恒星成分が存在する余地は、このケプラー回転によってほとんどなくなる。こうした「裸の」ブラックホールは、そのほぼ始原的な環境と共に、このLRDが降着の最初期段階で捉えられた大質量のブラックホールの種であることを示している。

