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反物質:反水素基底状態の超微細分裂の4 ppm測定
Nature 653, 8116 doi: 10.1038/s41586-026-10556-x
水素原子は、量子論の基礎、発展、そして最前線の研究にとって試金石である。この原子の基本的に重要なスペクトル線は、極めて高い精度で決定されている。今回の研究は、水素の反物質に対応する、反水素の研究に焦点を合わせている。我々は、水素原子と反水素原子の系を精密に比較することを通じて、自然界の基本的な対称性(荷電共役、パリティ変換、時間反転の同時対称性、すなわちCPT対称性など)を検証した。捕捉された反水素で行われた最近の1S–2S分光測定は、1兆分の1程度の相対精度に達している。しかし、反陽子の内部構造に感度を持つ基底状態の超微細分裂は、400 ppmの精度でしか測定されていない。本論文で我々は、反水素の基底状態の超微細分裂エネルギーa1Sを4 ppmの精度で測定したことを報告する。これは、これまでの精度を2桁向上させるものである。我々は、約2万4000個の反原子を用いたマイクロ波分光実験から、その値を1 Tの磁場中でa1S/h = 1,420,404.8 ± 1.1(統計誤差) ± 5.6(系統誤差) kHzと決定した。これは、水素に対する予測値と一致する。反陽子の内部構造の効果はa1Sに約40 ppmの寄与を与えるが、今回の測定精度はこの効果に感度を持つレベルに達しており、既存の理論解析の限界に近づいている。今回報告する研究の進展は、磁気トラップ磁場の制御、安定化、特性評価だけでなく、反原子のスピン状態操作や、反水素の蓄積率の向上における著しい進歩の産物である。

