Article

気候科学:温暖化する世界における全球の雹による被害ポテンシャルの増大

Nature 653, 8116 doi: 10.1038/s41586-026-10543-2

人為起源の気候変動(ACC)は、気象に関連する経済損失の主要な要因である雹嵐など、激しい対流嵐とそれらに伴うハザードを変化させると予想されている。ACCに対する雹嵐の応答に関する研究はあるが、研究の大半は地域規模の変化に重点を置いており、雹粒のサイズに関する全球規模の評価はまだ十分でない。今回我々は、21世紀後半までに全球の雹嵐によって生じる被害ポテンシャルが36.5~42.1%増加し、その規模は排出シナリオによって決まることを示す。今回の結果は、マルチモデル比較を通して交差検証されたEC-Earth3アンサンブルのアウトプットによって駆動され、過去と将来のシナリオの下で実施された雹粒の軌跡のシミュレーションから得られたものである。全球的には、低層の気温と比湿の上昇によって、より大きな雹粒への移行が駆動され、直径30 mm以上の雹粒の頻度が37.9~51.8%増加し、直径30 mm未満の雹粒の頻度が4.2~12.3%減少した。地域的には、中高緯度域において、強い温暖化と弱い湿潤化のために主に雹による被害ポテンシャルが増大し、増大した抗力や融解の効果を相殺するのに十分なほど不安定性が増幅された。一方で、熱帯とモンスーン地域では、弱い温暖化、強い湿潤化、限られた雹の成長深度のために、雹による被害ポテンシャルが低下した。今回の研究結果は、全球の雹嵐被害に対するACCの影響が一様でないことを浮き彫りにしており、将来の防災・減災の戦略のための重要な知見をもたらす。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度