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塩基配列解読:生体ドナー由来の健康なヒト肝臓の空間アトラス
Nature 653, 8116 doi: 10.1038/s41586-026-10377-y
生きている個人からの健康な試料の入手は限られているため、ヒト組織の遺伝子発現アトラスを再構築することは困難である。脳死判定されたドナーの場合は、しばしば虚血性変化が見られ、病変領域近傍の組織では遺伝子発現が変化している可能性がある。肝臓は独特な再生能を持つことから、健康な生体ドナーからの解析が可能である。本研究で我々は、空間トランスクリプトーム解析(Visium、Visium HD、MERFISH〔multiplexed error-robust fluorescence in situ hybridization〕およびPhenoCycler画像化)と単一核RNA塩基配列解読を用いて、16の肝臓試料を解析した。このうち、8試料は若い健康な生体ドナーから得たもので、残りの8試料は肝疾患を有する個体から採取した「隣接正常」組織である。健康な生体ドナーの肝臓では、肝疾患を有する個体の隣接正常組織と比較して、遺伝子発現に有意な違いが見られた。肝細胞と非実質細胞は、肝小葉の門脈–中心軸に沿って顕著なゾーネーションを示し、主要機能は、マウスや他の哺乳類と比べて中心静脈周辺に移行していた。我々のアトラスから、核がコードするミトコンドリアタンパク質の減少とそれを補償するミトコンドリアがコードする転写産物の増加など、肝臓脂肪症初期の肝細胞における動的なプログラムが明らかになった。本研究は、健康なヒト肝臓の空間的な遺伝子発現の参照情報となり、肝臓脂肪症初期の肝細胞の変化についての手掛かりを提供する。

