遺伝学:DNAウイロームはヒト遺伝子や環境によって変化する
Nature 653, 8116 doi: 10.1038/s41586-026-10288-y
多くのウイルスは、感染したヒトの体内で生涯にわたって持続するよう適応してきた。体内に存在するウイルスの量(ウイルス量)の宿主制御は可変で、その違いによって、ウイルス除去につながる場合もあれば疾患への進行につながる場合もある。今回我々は、英国バイオバンク(n = 49万401)、All of Us(n = 41万4817)およびSPARK(Simons Foundation Powering Autism Research for Knowledge、n = 1万2519)の全ゲノム塩基配列解読データを用いて、ヒトの血液と唾液中の31の一般的なウイルスのウイルスDNA量を解析した。その結果、ウイルスDNA量は年齢、採取時刻、季節によって大きく変動すること、そして、大半のウイルスは女性よりも男性により多く存在することが分かった。また、ヒト遺伝子の数十の座位での多様性が、7つのウイルスのDNA量と関連していた(エプスタイン・バーウイルス〔EBV、45座位〕、ヒトヘルペスウイルス〔HHV〕-7〔37座位〕、HHV-6B、メルケル細胞ポリオーマウイルス、3つのアネロウイルス)。さらに、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)座位の多様性について最も強力な関連が見られ(P = 5.8 × 10−9~2.5 × 10−1459)、これらの関連は各ウイルスに特異的であった。HLA-B*08:01対立遺伝子でも、EBVサブタイプとの宿主–ウイルス間遺伝的相互作用が見られた(P = 7.4 × 10−70)。他のヒト遺伝子の影響は、ERAP1(HHV-7、P = 2.7 × 10−78)やERAP2(EBV、P = 4.6 × 10−111)など、抗原提示のためのペプチドプロセシングを行うタンパク質をコードする遺伝子に関するものだった。メンデルランダム化解析によって、EBV DNA量がホジキンリンパ腫のリスク上昇に強力な因果効果を及ぼすことが裏付けられたが(P = 1.8 × 10−3)、多発性硬化症への影響はなかった(P = 0.52)。これは、慢性的に高いEBV量がリンパ腫のリスクを上昇させる一方、EBV感染と自己免疫疾患との関連は、特定のウイルスエピトープに対する宿主免疫応答を反映することを示唆している。

