肥満:GLP-1R–GIPR–PPARα/γ/δ五重作動がマウスの肥満と糖尿病を是正する
Nature 653, 8115 doi: 10.1038/s41586-026-10427-5
肥満に関連する代謝機能障害を改善する有効な薬剤が増えつつある。GLP-1R–GIPR共作動は肥満と2型糖尿病の管理に有効であり、PPARα、PPARγ、PPARδの核内作用性小分子三重作動薬であるラニフィブラノールは、代謝機能障害関連脂肪肝炎の治療を対象とした臨床第3相試験が行われている。今回我々は、GLP-1R–GIPR共作動の代謝の有効性をさらに高めることを目指し、GLP-1RおよびGIPRを発現する細胞への標的化送達を介して、GLP-1R–GIPR共作動による体重減少作用および血糖降下作用と、ラニフィブラノールによるインスリン感受性亢進作用および抗炎症作用を併せ持つ、単一分子五重作動薬を開発したことを報告する。in vitroでは、GLP-1–GIP–ラニフィブラノールは、インクレチン受容体シグナル伝達に関してGLP-1–GIPと区別が付かず、単離したマウス膵島において同等のインスリン分泌刺激を示した。しかしin vivoでは、GLP-1–GIP–ラニフィブラノールはGLP-1R–GIPR共作動およびセマグルチドを上回り、インクレチンとPPARの相乗的な作用を通じて、肥満かつインスリン抵抗性のマウスにおいて、体重、摂餌量、高血糖をさらに減少させた。GLP-1–GIP–ラニフィブラノールの代謝作用は、GLP-1R、GIPR、またはPPARδを遺伝的または薬理学的に阻害したマウスでは減弱し、食餌誘導性肥満(DIO)のインクレチン受容体二重ノックアウトマウスでは消失した。これらの結果を総合すると、GLP-1–GIP–ラニフィブラノールは、肥満と糖尿病の治療において大きな治療価値を持つことが示唆される。

