医学研究:βサラセミア治療のための塩基編集の臨床応用
Nature 653, 8115 doi: 10.1038/s41586-026-10342-9
βサラセミアは、βヘモグロビン産生の低下あるいは欠如によって引き起こされる。我々は以前に、トランスフォーマー塩基エディター(tBE:transformer base editor)を用いて、βサラセミア患者のCD34+造血幹・前駆細胞の実験室規模での電気穿孔を行った。その目的は、HBG1およびHBG2のプロモーターにある転写抑制因子BCL11Aの結合モチーフを標的として、胎児ヘモグロビン(HbF)産生を再活性化することであった。今回我々は、トランスフォーマー塩基エディターを用いて臨床規模で改変した自己CD34+細胞(CS-101)を投与した5人の患者を対象とした第1相臨床試験(ClinicalTrials.gov識別番号:NCT06024876)の結果を示す。CS-101静脈投与後の追跡期間の中央値は23.0カ月で、生着までの期間の中央値は好中球が16日、血小板が25日であった。さらに、全患者において赤血球輸血が中止され、CS-101静脈投与後、最後の輸血までの期間の中央値は18日であった。CS-101投与後3カ月の時点での平均総ヘモグロビン濃度は12.4 ± 1.0 g dl−1、HbF濃度は11.5 ± 0.9 g dl−1であった。これらの値は追跡期間を通じて同等のレベルまたはより高いレベルで維持され、迅速に造血が再構築されたことが示唆された。CS-101の有害事象は、ブスルファンによる骨髄破壊的前処置および自己造血幹・前駆細胞移植に伴うものとおおむね一致していた。死亡やがんの発生は報告されなかった。まとめると、CS-101は総ヘモグロビン濃度およびHbF濃度の両方を迅速かつ持続的に上昇させることができ、この結果、早期かつ永続的な輸血非依存性がもたらされる可能性がある。

