Article
電気熱量学:積層キャパシターにおける室温近傍での電気熱量効果
Nature 653, 8114 doi: 10.1038/s41586-026-10492-w
PbSc0.5Ta0.5O3(PST)積層キャパシターにおいて、超臨界的に駆動された一次の強誘電相転移を伴う大きな電気熱量効果を利用する冷却デバイスの数が増えている。しかし、こうした積層キャパシターは、室温より高いキュリー温度を超える温度でしか動作せず、潜熱を最大化するには、高いBサイト秩序を得るべくエネルギー的に高コストな42日間のアニールが必要である。今回我々は、PbMg0.5W0.5O3(PMW)による希釈によって価数不整合を増大させることで、アニールせずに高いBサイト秩序と潜熱を維持しつつ、双極子秩序を乱してキュリー温度を最低230 Kまで低下させられることを示す。今回のPST–PMW積層キャパシターは、17.1 V μm−1の電場を107回以上印加しても絶縁破壊を伴わず、室温付近から室温を大きく下回る温度域にわたり、約3 Kという超臨界電気熱量効果を示した。今回の積層キャパシターを、理想的な流体再生器において用い、仕事回復を想定すると、70~90%というサイクル効率が得られた。まとめると今回の知見は、電気熱量冷却を可能にするために、電気熱量プロトタイプにおいてPST積層キャパシターをPST–PMW積層キャパシターで置き換えるべきであることを示唆している。

