Article
構造生物学:マールブルグウイルスの糖タンパク質の構造およびNPC1受容体とのその複合体の構造
Nature 653, 8114 doi: 10.1038/s41586-026-10240-0
マールブルグウイルス(MBV)は、エボラウイルス(EBOV)よりも致死率が高く重篤な出血熱を引き起こす。今回我々は、MBVの糖タンパク質(GP)がEBOVのGPよりもずっと効率良くウイルスの侵入を仲介することを示す。我々は、クライオ電子顕微鏡法を用いてMBVのGPの構造を3つの状態、すなわち(1)非結合状態、(2)エンドソームの受容体NPC1と結合した状態、(3)中和ナノボディと複合体を形成した状態で決定した。糖鎖からなるキャップ構造は受容体結合部位をNPC1から隠せるが、ナノボディからは部分的にしか隠せないため、限定的な免疫回避が可能になる。糖鎖キャップの切断後に、NPC1はEBOVのGPとは異なった向きでMBV GPに結合し、追加の連結部位を提供して受容体の親和性を高める。NPC1の結合はMBV GP中にかなりの大きさのコンホメーション変化を引き起こし、おそらく膜融合を促進すると考えられる。さらに、MBV GPは受容体結合部位のNPC1を模倣した中和ナノボディにも感受性を示す。総合するとこれらの知見は、MBV GPは非常に効率の良いウイルス進入仲介因子であることを明らかにしており、また侵入効率を高める一因となる構造上の仕組みが示唆されている。

