Article

微生物学:食物の合図に応答した微生物相介在性のベージュ脂肪細胞誘導

Nature 653, 8114 doi: 10.1038/s41586-026-10205-3

食物と腸内微生物相の相互作用は、代謝の健康の基礎であり、エネルギーバランスや疾患感受性を形作っている。しかし、食物要因と微生物要因が収斂して宿主の生理機能を調節する、基盤となる機構は明らかになっていない。今回我々は、タンパク質の利用可能性が、腸内微生物相の機能的全体像を大きく調節すること、また、白色脂肪組織(WAT)のリモデリングを促進することを示す。具体的には、低タンパク質食(LPD)はWATにおいて褐色化のシグネチャー遺伝子をロバストに誘導し、その程度は、低温曝露やβアドレナリン受容体活性化のような、従来の刺激への応答で見られるのと同等であった。LPDが仲介する褐色化は無菌マウスでは顕著に減弱しており、この減弱は、LPDを与えたマウス、あるいは18F-フルオロデオキシグルコース陽電子放出断層撮影(FDG-PET)で褐色脂肪またはベージュ脂肪の活性が確認された健康なヒトボランティアの糞便から分離選別された、特定の細菌株コンソーシアムの定着によって回復した。微生物相が誘導する褐色化は、胆汁酸による脂肪前駆細胞におけるファルネソイドX受容体(FXR)の活性化と、アンモニア(nrfA遺伝子をコードする細菌株が産生する)によって肝細胞で誘導される繊維芽細胞増殖因子21(FGF21)の両方によって媒介されていた。この胆汁酸–FXR軸およびアンモニア–FGF21軸はどちらも、WAT褐色化の促進において非冗長性で必須の役割を担っている。これらの知見は、食事、腸内微生物代謝、脂肪組織リモデリングの間の機構的な結び付きを明らかにしており、宿主が食事の合図に応答する微生物相に依存した経路を解明している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度